新築マンションの供給が減少する一方で、築古マンションが増加し続ける現代の日本。この社会構造の変化を大きなビジネスチャンスと捉え、「中古住宅×リノベーション」という新たなスタンダードを創造する、株式会社リノベミクニ。総合人材サービスや不動産事業を展開するワールドホールディングスの中核をなす同社の第36期(2024年12月期)決算が、2025年6月16日付の官報に掲載されました。中古不動産の「買取再生」事業に特化し、日本の住まいの価値観を変革しようとする同社の経営状況と、その成長戦略に迫ります。 ![]()

第36期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 7,524百万円 (約75.2億円)
負債合計: 7,195百万円 (約72.0億円)
純資産合計: 306百万円 (約3.1億円)
当期純利益: 75百万円 (約0.8億円)
今回の決算では、当期純利益として75百万円(約0.8億円)を確保し、堅実な経営が行われていることを示しています。資産の大部分(約74.9億円)が流動資産で構成されている点が、同社の事業モデルを色濃く反映しています。これは、販売を目的として保有する不動産(在庫)が、流動資産として計上されているためであり、活発な買取・再生・販売活動が行われていることの証左です。
自己資本比率は4.1%と低めですが、これは常に大きな仕入(不動産買取)が発生する事業の特性によるものであり、親会社であるワールドホールディングスの強力な信用力と資金力を背景に、安定した事業運営が行われているものと推察されます。利益剰余金も約2.0億円と、設立(2023年4月)から短期間で着実に利益を積み上げています。
事業内容と今後の展望(考察)
【事業内容の概要】
株式会社リノベミクニは、その名の通り「リノベーション」に特化した不動産会社です。しかし、一般的なリフォーム会社とは一線を画す、独自のビジネスモデルを構築しています。
リノベーション事業(買取再生):
同社の事業の核心は、中古のマンションや戸建て住宅を、自社で直接「買い取り」、現代のライフスタイルに合わせて全面的にリノベーション(再生)した上で、付加価値の高い物件として「再販売」することです。これにより、売り手は「早期現金化」というメリットを、買い手は「新築よりも割安で、自分好みの住まい」を手に入れるというメリットを享受できます。
全国を網羅する拠点ネットワーク:
東京、横浜、名古屋、大阪、福岡など、全国に12の拠点を構え、各地域に密着した買取・再生・販売活動を展開しています。地域ごとの市場特性やニーズを的確に把握し、その土地に合ったリノベーションを施すことで、物件の価値を最大化しています。
ワールドホールディングスグループの総合力:
同社は、不動産、人材、情報通信など、多岐にわたる事業を展開する株式会社ワールドホールディングスの一員です。グループ内のマンション分譲会社や販売会社、管理会社と連携することで、物件情報の入手から、販売、そしてアフターサービスに至るまで、強力なシナジーを発揮できる体制が整っています。
【財務状況と今後の展望・課題】
第36期決算における7,500万円の純利益は、中古住宅市場の活況と、同社のビジネスモデルが市場のニーズと合致していることを示しています。新築物件の価格が高騰し続ける中、「中古を買って、賢くリノベーションする」という選択肢は、消費者にとってますます魅力的になっています。同社は、この大きな潮流を確実にとらえ、収益に結びつけています。
流動資産の大部分を占める販売用不動産は、同社の「仕入れ力」の表れです。いかに優良な中古物件を、適正な価格でスピーディーに買い取れるかが、この事業の生命線であり、全国に広がる拠点網がその強みを支えています。
この「全国規模のネットワークを活かした買取力」と「グループシナジーを背景とした再生・販売力」こそが、リノベミクニの最大の強みです。
しかし、この成長市場には、特有の課題も存在します。
第一に、「物件取得競争の激化」です。リノベーション再販事業の魅力に気づいた多くの事業者が市場に参入しており、優良な中古物件の仕入れ競争は激しさを増しています。その中で、いかに独自のルートで物件情報を確保し、他社に先んじて買い付けられるかが問われます。
第二に、「金利変動および不動産市況のリスク」です。同社の事業は、不動産の買取(仕入れ)のために大きな資金を必要とします。将来的な金利の上昇は、借入コストの増大を通じて収益を圧迫する可能性があります。また、不動産市況全体が冷え込んだ場合、再生した物件が想定通りの価格・期間で売却できないリスクも抱えています。
今後の展望として、リノベ-ミクニは、その事業をさらに加速させていくでしょう。社長の言葉にもある通り、日本の不動産市場は、欧米のように「古いものに価値を見出す」という価値観へと、少しずつ変化しています。この流れは、同社にとって大きな追い風です。
短期的には、各拠点での買取・販売件数を着実に増やし、収益基盤を拡大していくことが目標となります。
中長期的には、単なる内装のリノベーションにとどまらず、建物の断熱性能や耐震性能を向上させるなど、住宅の「長寿命化」に貢献する、より付加価値の高い再生事業へと進化していくことが期待されます。また、ワールドホールディングスグループの総合力を活かし、リノベーション後の住宅に、グループ内の人材サービスや情報通信サービスを組み合わせた、新たなライフスタイル提案なども可能になるかもしれません。
「5年、10年先の『みらいに』、お客様の『くらしに』役立つリノベーション」。その言葉を胸に、リノベミクニは、日本の住まいの常識を変え、新たな価値を創造する挑戦を続けています。その成長から、今後も目が離せません。
企業情報
企業名: 株式会社リノベミクニ
本社所在地: 東京都港区東新橋2丁目14-1 NBFコモディオ汐留4F
事業内容: ワールドホールディングスグループの一員として、中古住宅の「買取再生」事業を専門に手掛ける不動産会社。全国12の拠点で中古マンション等を買い取り、現代のニーズに合わせたリノベーションを施した上で、再販売している。