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#1017 決算分析 : 姫路大同青果株式会社 第62期決算 当期純利益 17百万円


兵庫県播磨地域の「食」の拠点、姫路市中央卸売市場。その中核を担う青果卸として、60年以上にわたり地域の食文化を支え続けてきた姫路大同青果株式会社。同社の第62期(2025年3月期)決算公告が2025年6月14日に掲載されました。2023年3月に完了した、最新鋭の設備を誇る新市場への移転という一大プロジェクトを経て、同社は新たなステージへと歩みを進めています。その決算内容から、盤石の経営基盤と、未来に向けた確かな一歩を読み解きます。 

20250331_62_姫路大同青果決算

第62期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 1,840 (約18.4億円)

負債合計: 592 (約5.9億円)

純資産合計: 1,248 (約12.5億円)

当期純利益: 17 (約0.2億円)

 

今回の決算では、17百万円の当期純利益を確保しました。しかし、その数字以上に注目すべきは、傑出して健全な財務体質です。総資産約18.4億円に対し、純資産が約12.5億円を占め、自己資本比率は約67.8% という極めて高い水準を誇ります。これは、長年にわたる安定経営の証である1,245百万円(約12.4億円)もの潤沢な利益剰余金に裏打ちされたものであり、新市場への移転という大規模な事業投資をものともしない、強固な経営基盤を示しています。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
姫路大同青果は、単に青果物を右から左へ流すだけの卸売業者ではありません。「播磨地域の食文化の拠点」として、生産者と消費者を繋ぐ重要な社会的インフラとしての役割を担っています。

 

青果物卸売事業:

同社の根幹をなす事業です。全国の生産地から集荷した新鮮で安全・安心な野菜や果物を、市場内の仲卸業者や地域のスーパーマーケット、食品加工業者などへ安定的に供給しています。

 

新市場を核とした高度な品質管理:

2023年3月に移転した新・姫路市中央卸売市場は、同社の事業を新たな次元へと引き上げました。外気を完全に遮断する「閉鎖型施設」となったことで、温度・衛生管理体制が飛躍的に向上。野菜や果物の鮮度を保つコールドチェーンへの対応が可能となり、より高品質な商品提供を実現しています。

 

災害時に備える食料供給拠点:

新市場は、耐震化対策も強化されており、災害時においても地域の食料供給を維持するための「防災拠点」としての機能も担っています。これは、企業理念に掲げる「公的使命」を体現するものです。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
今期の決算は、姫路大同青果が大きな変革期にあることを示しています。自己資本比率67.8%という鉄壁の財務基盤は、同社が目先の利益に一喜一憂することなく、長期的な視点で未来への投資を行える体力があることの証明です。

 

【強みと機会】

新市場という最強のハードウェア:

最新鋭の「閉鎖型施設」は、同社の最大の競争優位性です。近年、小売・外食業界から求められる品質・衛生管理レベルはますます高度化しており、コールドチェーンに対応できるこの新施設は、既存顧客の信頼を深めると同時に、新たな大口取引先を開拓する上での強力な武器となります。

 

揺るぎない財務基盤:

12億円を超える利益剰余金は、安定性の証であると同時に、未来への投資原資です。ICT活用によるさらなる業務効率化や、新たな加工・物流機能の導入など、次の成長に向けた戦略的な投資を可能にします。

 

「播磨ブランド」の発信拠点として:

地元の生産者が丹精込めて作った野菜や果物を、最高の状態で消費者に届ける。新市場は、播磨地域の農業の魅力を発信するショーケースとしての役割も期待されます。地場産品のブランド価値を高めることは、地域社会への貢献であり、同社の企業価値向上にも直結します。

 

【課題とリスク】

投資回収と収益性の向上: 新市場への移転は、巨額の投資を伴います。今期の17百万円という純利益は、移転に伴う一時的なコストや、新体制への移行期間を反映している可能性も考えられます。今後は、この最新鋭の設備をフル活用して、いかに売上を伸ばし、収益性を高めていくかが最大の課題です。

 

物流・卸売業界の構造変化への対応:

生産者から消費者への流通ルートが多様化する中で、卸売市場が「中抜き」されるという議論は常に存在します。単にモノを仲介するだけでなく、品質管理、情報提供、物流効率化といった付加価値を提供し、市場を経由するメリットを荷主・買主に示し続ける必要があります。

 

人材の確保と育成:

セリ人や営業担当者の専門性、目利きといった「人」の力は、今も昔も卸売業の生命線です。次世代を担う人材を確保し、その専門技術を継承していくことが、企業の持続的成長に不可欠です。

 

社是に「重ねよ誠と信用」、社訓に「限りなき前進」を掲げる姫路大同青果。その言葉通り、60年かけて築き上げた信用という盤石の土台の上に、新市場移転という未来への大きな一歩を踏み出しました。今期の決算は、新たなスタートラインに立った同社の、静かな、しかし力強い助走の始まりを告げるものと言えるでしょう。「播磨地域の食文化の拠点」として、その挑戦がどのように実を結んでいくのか、今後の展開が非常に楽しみです。

 

企業情報
企業名: 姫路大同青果株式会社

所在地: 兵庫県姫路市白浜町甲1920番地54(姫路市中央卸売市場)

代表者: 木谷 憲一

事業内容: 姫路市中央卸売市場における青果物の卸売会社。全国から青果物を集荷し、地域の小売店や食品関連事業者へ販売する。2023年に移転した新市場では、閉鎖型施設による高度な品質・衛生管理を強みとする。

www.e-himeka.com

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