日本有数の豪雪地帯、新潟県津南町。国土交通省の「水の郷百選」にも認定されるこの地で、清冽な雪解け水から生まれるナチュラルミネラルウォーターを全国に届ける、株式会社クリアーウォーター津南。ファミリーマートやJAL、ANAといった大手企業のプライベートブランド(PB)製品を手掛ける、知る人ぞ知る実力派メーカーである同社の第12期(2025年2月期)決算公告が2025年5月28日に掲載されました。その決算内容は、設立からわずか12年で築き上げた驚異的な収益性と、鉄壁とも言える財務健全性を示していました。 ![]()

第12期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 2,451 (約24.5億円)
負債合計: 445 (約4.5億円)
純資産合計: 2,006 (約20.1億円)
当期純利益: 385 (約3.9億円)
今回の決算で特筆すべきは、その圧倒的な財務健全性です。総資産約24.5億円に対し、純資産が約20.1億円を占め、自己資本比率は約81.8% という極めて高い水準にあります。さらに、設立12年目にして、資本金1.5億円の12倍以上となる1,856百万円(約18.6億円)もの利益剰余金を積み上げています。今期も3.9億円の純利益を計上しており、非常に収益性の高い優良企業であることが明確にうかがえます。
事業内容と今後の展望(考察)
【事業内容の概要】
株式会社クリアーウォーター津南の急成長の秘密は、その巧みな事業モデルにあります。
大手ブランドを支えるOEM事業:
同社の事業の核心は、大手企業のPB(プライベートブランド)製品や専用製品の製造を受託するOEM/ODM事業です。特に、全国のファミリーマートで販売されている「新潟県津南の天然水」や、日本航空(JAL)、全日空(ANA)の機内などで提供されるミネラルウォーターは、同社が製造を手掛けています。多くの消費者が知らず知らずのうちに、同社の製品を手にしているのです。
「津南の湧水」という最高の自然資本:
製品の品質を根底から支えているのが、採水地である新潟県津南町の自然環境です。苗場山系に降り積もった雪が、長い年月をかけて大地に浸透し、湧き出る天然水は、硬度17mg/Lという非常に口当たりがまろやかな超軟水。この唯一無二の「自然資本」が、製品の競争力の源泉となっています。
徹底した品質・安全・環境へのこだわり:
大手企業の厳しい品質基準に応えるため、食品安全の国際規格であるFSSC22000認証を取得。さらに、工場内でペットボトルの成形から充填までを一貫して行うことで、高いレベルの安全性を確保しています。また、使用するペットボトルは100%リサイクル素材であり、サステナビリティを重視する企業姿勢も、大手企業からパートナーとして選ばれる重要な要素となっています。
【財務状況と今後の展望・課題】
設立からわずか12年で自己資本比率80%超という鉄壁の財務基盤を築き上げたことは、同社のビジネスモデルが大成功していることを証明しています。安定した大口取引先を確保することで、過度な販売競争に陥ることなく、高品質な製品を適正な価格で供給し、着実に利益を積み上げるという理想的な経営サイクルが確立されています。
【強みと機会】
高品質なOEM供給能力:
大手コンビニや航空会社といった、品質と安定供給に極めて厳しい基準を持つ企業のパートナーとして選ばれ続けている実績そのものが、最大の強みです。
健康志向と「水」への関心の高まり:
人々の健康意識が高まる中で、毎日飲む「水」の品質や産地にこだわる消費者は増え続けています。「津南の雪解け水」というストーリーと、それを裏付ける高品質な製品は、こうしたニーズにまさに合致しています。
100%リサイクルペットボトルの採用は、環境負荷低減に貢献するだけでなく、SDGsを重視する取引先や消費者からの評価を高める重要な企業価値となります。
PB・OEM市場のさらなる拡大:
小売業やサービス業が、自社ブランドの価値向上のためにオリジナルの飲料製品を求める動きは、今後も続くと考えられます。高品質なOEM供給能力を持つ同社にとって、これは大きな事業機会です。
【課題とリスク】
特定の大口取引先への依存:
現在の安定経営は、ファミリーマートや航空会社といった特定の大口取引先に支えられている側面が強いと言えます。これは強みであると同時に、万が一、取引先の戦略変更や契約見直しがあった場合には、経営に大きな影響が及ぶリスクも内包しています。
水資源の保全と気候変動リスク:
事業の生命線である津南町の豊かな湧水は、永遠に保証されたものではありません。気候変動による渇水のリスクや、水源地の環境保全は、企業の持続可能性を考える上で最も重要なテーマです。
競争の激化:
ミネラルウォーター市場、特にOEM受託市場は、大手飲料メーカーをはじめ多くの企業が参入しており、競争は常に存在します。品質、コスト、供給能力、そして環境配慮といった総合力で優位性を保ち続ける必要があります。
「もっといい商品をつくろうよ」というシンプルなスローガンを掲げる、クリアーウォーター津南。その言葉の裏には、自然の恵みへの感謝、品質への徹底したこだわり、そして環境への配慮という、現代の企業に求められる全ての要素が詰まっています。新潟県津南町という地に根ざし、大手企業の信頼を勝ち得ることで見事な成長を遂げた同社は、地方創生とサステナブル経営の優れたモデルケースと言えるでしょう。
企業情報
企業名: 株式会社クリアーウォーター津南
代表者: 金武 浩二
事業内容: 新潟県津南町の湧水を原料としたナチュラルミネラルウォーターの製造・販売。特に、ファミリーマートやJAL、ANAといった大手企業のPB(プライベートブランド)製品や専用製品のOEM(受託製造)を主力事業とする。