決算公告データ倉庫

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#962 アクシスルートホールディングス株式会社 第17期決算 当期純利益 57百万円

健康寿命を支える事業を創出する」という明確なパーパスを掲げ、調剤薬局のデジタルトランスフォーメーション(DX)をリードする、アクシスルートホールディングス株式会社。その第17期(令和7年2月28日現在)の決算公告が、令和7年5月30日付の官報に掲載されました。クラウド型電子薬歴システムで国内最大級の導入実績を誇る同社グループの、健全な経営状況と、日本の医療の未来を支える事業の可能性について分析します。 

20250228_17_アクシスルートホールディングス決算

第17期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 977 (約9.8億円)
負債合計: 277 (約2.8億円)
純資産合計: 700 (約7.0億円)
当期純利益: 57 (約0.6億円)


今回の決算では、当期純利益として57百万円を計上。純資産は約7.0億円、自己資本比率も約71.6%と極めて高く、安定した収益力と健全な財務基盤を両立しています。

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
アクシスルートホールディングス株式会社は、2つの事業会社を傘下に持つ純粋持株会社です。グループ全体で、IT技術を駆使したヘルスケア領域の課題解決に取り組んでいます。

 

株式会社アクシス(中核事業):

調剤薬局向けのクラウド型電子薬歴システム「Medixs(メディクス)薬歴」を開発・提供。同システムは、全国47都道府県で導入され、導入実績日本最大級を誇ります。場所を選ばずに薬歴の閲覧・記録ができるクラウド型の利便性を武器に、特に地域のチェーン薬局や個店薬局のDX化を強力に推進しています。


アクシスイノベーション株式会社:

医療分野で培ったノウハウを活かしつつ、より幅広い業種の顧客に対して、DX事業の立ち上げからシステム開発・運用までをトータルで支援しています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第17期決算で示された高い自己資本比率と安定した利益は、同社グループの主力サービス「Medixs薬歴」が、市場で確固たる地位を築いていることを物語っています。高齢化が進み、国が「地域包括ケアシステム」の構築を推進する中で、調剤薬局の役割は、単に薬を渡す場所から、地域の健康を支えるハブへと変化しています。在宅医療やオンライン服薬指導など、薬剤師が薬局の外で活動する機会が増える中、いつでもどこでも安全に患者情報にアクセスできるクラウド型電子薬歴は、もはや不可欠なツールとなっています。

 

アクシスルートグループの強みは、この時代の要請を的確に捉えた製品力と、それを支える事業戦略にあります。

 

クラウド型電子薬歴のパイオニアとしての先行者メリット:

2014年という早い段階からクラウド型電子薬歴の提供を開始。長年にわたり、現場の薬剤師の声を反映した機能改善(2022年には年間11回)を積み重ねてきたことが、ユーザーからの高い評価と、日本最大級の導入実績に繋がっています。


中小規模薬局へのフォーカス:

大手チェーンではなく、IT化への投資やノウハウに課題を抱えがちな地域の中小規模薬局をメインターゲットとすることで、独自の市場を開拓。手厚い導入サポートや、利用台数に制限のない料金設定など、顧客に寄り添ったサービスで高いシェアを獲得しています。


「両利きの経営」を実践するグループ体制:

医療DXに特化して専門性を深める「アクシス」と、医療以外の知見も取り入れながら柔軟な開発を行う「アクシスイノベーション」。この2社体制により、既存事業の「深化」と、新たな事業機会の「探索」を両立させています。


今後の成長戦略としては、電子薬歴システムで得た顧客基盤と膨大なデータを活用し、さらなる事業拡大を進めていくことが予想されます。

1.薬局業務のプラットフォーム化

現在の電子薬歴システムを中核として、医薬品の在庫管理や自動発注、オンライン服薬指導、処方箋の事前受付(「スマホよ薬」)といった、薬局の業務全体をカバーするプラットフォームへと進化させていくでしょう。これにより、薬局の業務効率を劇的に改善し、顧客を強固に囲い込むことができます。


2.データの利活用による新規事業創出

「Medixs薬歴」に蓄積される膨大な医療データを、個人情報を保護した上で匿名化・統計処理し、製薬会社向けの新薬開発支援やマーケティングデータとして提供したり、公衆衛生の研究に活用したりするなど、新たなデータビジネスを展開する可能性があります。


3.予防医療・未病領域への展開

健康寿命を支える」というパーパスの通り、治療だけでなく、病気になる前の「予防」や「未病」の領域にも事業を拡大していくことが考えられます。薬局を健康相談の拠点とし、個人の健康データを活用したアドバイスや、サプリメント・健康食品の提案など、新たなサービスが生まれるかもしれません。


アクシスルートホールディングスグループは、医療現場のDX化という、社会的意義と成長性を両立した領域で、確固たる地位を築いています。「健康寿命を支える」という大きな目標に向かい、日本の医療の未来をITの力で創造していく同社の挑戦に、今後も大きな期待が寄せられます。

 

企業情報
企業名: アクシスルートホールディングス株式会社
所在地: 東京都千代田区内幸町二丁目1番1号 飯野ビルディング9階
代表者: 瀧口 浩平
事業内容: 「健康寿命を支える事業を創出する」をパーパスに掲げる持株会社。中核子会社の(株)アクシスが、導入実績日本最大級のクラウド型電子薬歴「Medixs薬歴」を調剤薬局向けに提供するほか、(株)アクシスイノベーションが各種システム開発を担う。

axisroot-holdings.co.jp