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#760 株式会社パシフィックソーワ 第69期決算 当期純利益 1,646百万円

1956年の創立以来、大平洋金属グループの中核商社として、日本の基幹産業を支え続けてきた株式会社パシフィックソーワ。その第69期決算公告が、令和7年3月31日付の官報に掲載されました。「製販一体」を強みとする専門商社の好調な業績と、その事業内容、そして今後の展望について深く分析します。

20241231_69_パシフィックソーワ決算

第69期 決算のポイント
売上高: 41,411百万円 (約414.1億円)
営業利益: 2,482百万円 (約24.8億円)
当期純利益: 1,646百万円 (約16.5億円)


資産合計: 35,204百万円 (約352.0億円)
純資産合計: 15,610百万円 (約156.1億円)
利益剰余金: 14,315百万円 (約143.2億円)


今回の決算で、パシフィックソーワは売上高414.1億円、営業利益24.8億円、そして当期純利益16.5億円という、非常に力強い好業績を記録しました。利益剰余金も約143.2億円と極めて潤沢に積み上がっており、自己資本比率も約44%と健全な水準を維持。長年にわたる安定した経営基盤を改めて示しました。 

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】

株式会社パシフィックソーワは、大平洋金属株式会社の営業部門を継承して設立された「メーカー商社」です。グループの製造基盤と、商社としての幅広いネットワークを融合させ、多岐にわたる製品を国内外に供給しています。

 

鋳鋼・鍛鋼事業:

グループ会社である大平洋製鋼、大平洋特殊鋳造、米子製鋼が製造する、高品質な鋳鋼品・鍛鋼品を販売。特に特許技術である圧延ロール「NT-ROLL」は、国内外の鉄鋼業界で高い評価を得ています。


機械事業:

ポンプ、ミキサー、油圧機器といった産業機械から、近年では金属3Dプリンターまで、国内外の優良メーカーの製品を幅広く取り扱い、顧客の多様なニーズに応えています。


金属機材・金属粉末事業:

合金鉄、フェロニッケル、ステンレス製品といった素材から、金属粉末、活性炭、ステンレスペイントなど、産業に不可欠な各種機材・化学製品を供給しています。


【財務状況と今後の展望・課題】

今期の好調な業績は、国内外の製造業における設備投資意欲の回復や、インフラ関連の需要が堅調に推移したことが大きな要因と考えられます。同社が持つ幅広い製品ポートフォリオが、様々な業界の需要を的確に捉え、収益に結びついた結果と言えるでしょう。

 

貸借対照表における特徴は、固定資産(約121.6億円)のうち、「投資その他の資産」が108.2億円と大きな割合を占めている点です。これは主に、製造を担う連結子会社への投資(関係会社株式)であり、同社がグループの販売戦略を担う中核企業として、事業持株会社に近い機能を有していることを示しています。

 

パシフィックソーワの強みは、この独自の立ち位置にあります。

 

「製販一体」のソリューション提供力:

単なる商社ではなく、背後に大平洋金属グループという強力な製造機能を持つことが最大の強みです。これにより、製品の安定供給はもちろん、顧客の技術的な課題に対して、製造部門と一体となった深いレベルでのソリューション提案が可能です。


リスク分散された事業ポートフォリオ:

特定の製品や業界に依存せず、素材から産業機械、化学製品まで幅広い事業の柱を持つことで、経済環境の変化に強い、安定した経営基盤を構築しています。


国内外の広範なネットワーク:

国内14拠点、海外3拠点(シンガポール、上海、台北)のネットワークを活かし、地域に密着したきめ細やかなサービスと、グローバルなビジネス展開を両立させています。


今後の課題としては、主要顧客である製造業の景気動向や、原材料・エネルギー価格の高騰、地政学リスクによるサプライチェーンの混乱などが挙げられます。

 

こうした環境の中、パシフィックソーワは経営理念に掲げる「創造企業」への進化を目指していくと考えられます。

 

ソリューション事業の強化:

近年取り扱いを開始した金属3Dプリンターのように、単に製品を販売するだけでなく、顧客の生産性向上やDX推進に貢献するような、付加価値の高いソリューション提案を強化していくことが、今後の成長の鍵となります。


グローバル展開の加速:

成長著しいアジア市場を中心に、海外拠点を活用したビジネスをさらに拡大していくことが期待されます。


グループ連携の深化:

製造子会社との連携をさらに密にし、研究開発から製造、販売、アフターサービスまで、一気通貫バリューチェーンを強化することで、他社にはない競争優位性を築いていくでしょう。


60年以上にわたり日本の基幹産業を支えてきたパシフィックソーワ。その歴史で培った信頼と、「製販一体」という独自の強みを武器に、これからも社会に不可欠なパートナーとして、安定した成長を続けていくことが期待されます。

 

企業情報
企業名: 株式会社パシフィックソーワ(大平洋金属グループ)
所在地: 東京都千代田区丸の内1-4-1
代表者: 代表取締役社長 谷岡 茂
事業内容: 大平洋金属グループの中核をなすメーカー商社。鋳鋼品・鍛鋼品、産業機械、金属材料、化学製品など、多岐にわたる製品を国内外の基幹産業へ供給している。

www.pacificsowa.co.jp