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#749 決算分析 : 株式会社安田屋 第65期決算 当期純利益 1,719百万円

創業75周年を迎え、関東圏に根差したパチンコホール「YASUDA」を運営する株式会社安田屋。その第65期決算公告が令和7年3月31日付の官報に掲載されました。「みんな、たのしい。そして、あたたかい。」という理念のもと、業界でも屈指の歴史と安定性を誇る同社の強さの源泉と、100年企業に向けた未来への展望を、詳細な財務データと共に分析します。

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第65期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 43,220百万円 (約432.2億円)
負債合計: 16,129百万円 (約161.3億円)
純資産合計: 27,090百万円 (約270.9億円)
当期純利益: 1,719百万円 (約17.2億円)


今回の決算で、株式会社安田屋は17.2億円という非常に高水準の当期純利益を計上しました。特筆すべきは、その圧倒的な財務基盤です。純資産合計は約270.9億円に達し、中でも利益剰余金が約270.1億円と、創業以来の堅実な経営によって極めて潤沢な内部留保を築き上げています。自己資本比率も約62.7%と非常に高く、業界内外を見渡しても屈指の安定性を誇ります。

 

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】

株式会社安田屋は、1949年の創業以来、パチンコホール事業を主軸としてきました。現在、東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬の関東圏に「YASUDA/やすだ」の屋号で21店舗を展開。単なる遊技場ではなく、「みんな、たのしい。そして、あたたかい。」という企業理念のもと、地域の人々にとって心地よく、安心できるレジャー・アミューズメント空間を提供することを使命としています。

 

【財務状況と今後の展望・課題】

17.2億円という高い当期純利益は、近年のスマート遊技機(スマパチ・スマスロ)導入への積極的な投資が顧客の支持を得て、収益に結びついた結果と推察されます。しかし、同社の真の強さは、この短期的な好業績を生み出す源泉となっている、長期的な経営姿勢と盤石な財務にあります。

 

圧倒的な財務力が経営の自由度を支える:
貸借対照表に示された約270億円の利益剰余金は、まさに75年の歴史の結晶です。この豊富な自己資本があるからこそ、コロナ禍において全店休業(47日間)を余儀なくされた際にも、従業員に対して休業手当を100%支給するという決断が可能でした。また、スマート遊技機への大規模な設備投資を迅速に実行できるのも、この財務力があってこそです。危機を乗り越え、好機を逃さない経営の原動力がここにあります。

 

最大の強みは「従業員重視」の経営:
安田屋は、「健康経営優良法人」「くるみん(子育てサポート企業)」「ホワイト企業判定『SSS』評価」という、権威ある認定をトリプルで取得しています。これは、同社が従業員の心身の健康と働きがいを経営の最重要課題と位置付けていることの証明です。「従業員が心身ともに健康で活き活きと働ける環境」が、質の高い接客サービスを生み、それが顧客満足度、ひいては企業の成長につながるという好循環を確立しています。

 

「不易流行」を実践する革新のDNA:
「お客様には誠実に、営業は大胆に、経営は実直に」という創業以来の「不易(変えてはならないこと)」を守りつつ、常に時代の変化に対応する「流行(変えるべきこと)」を追い求めてきました。過去には玉の自動補給装置の自社開発や業界初のプライベートブランド(PB)機の開発など、その歴史は革新の連続です。75周年を機に理念体系を再構築したことも、VUCA時代と呼ばれる不確実性の高い現代を乗り越えようとする、強い意志の表れと言えるでしょう。

 

パチンコ業界全体としては、参加人口の減少や依存症問題への対応など、厳しい課題が山積しています。こうした中、安田屋の進む道は明確です。それは、遊技というサービスを通じて、いかに顧客に「たのしさ」と「あたたかさ」を提供できるかという原点に立ち返り、それを実現する従業員をいかに大切にするか、という点に集約されます。

 

今後のマイルストーンとしては、75周年を機に策定された新たな理念や行動指針を、全従業員に浸透させ、店舗運営の隅々にまで反映させていくことが挙げられます。また、スマート遊技機時代にふさわしい、新たな店舗のあり方や顧客体験の創出も重要なテーマとなるでしょう。

 

厳しい業界環境だからこそ、株式会社安田屋の「従業員を大切にする」「実直に利益を積み上げる」という王道の経営スタイルは、一層の輝きを放ちます。同社は、業界のイメージを刷新し、地域社会から真に信頼される「100年企業」への道を、着実に歩み続けることでしょう。

 

企業情報
企業名: 株式会社安田屋
所在地: 東京都板橋区板橋二丁目65番8号 MSビル
代表者: 代表取締役社長 山下 信浩
事業内容: 1949年創業。「YASUDA/やすだ」の屋号で、関東圏(東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬)に21店舗のパチンコホールを展開。従業員の働きがいを重視した経営で、地域に根差したアミューズメント施設を運営。

www.yasudaya.co.jp

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