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#712 日本グロース・キャピタル株式会社 第7期決算 当期純利益171百万円

後継者問題や成長の壁に直面する日本の中小企業に対し、「成長のための資本」とハンズオンでの経営支援を提供することで、その継承と発展を支えるプライベート・エクイティ(PE)ファンド、日本グロース・キャピタル株式会社。同社の第7期(2024年12月期)の決算公告が掲載されました。

20241231_7_日本グロース・キャピタル決算

第7期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 939百万円 (約9.4億円)
負債合計: 57百万円 (約0.6億円)
純資産合計: 882百万円 (約8.8億円)
当期純利益: 171百万円 (約1.7億円)


今回の決算では、当期純利益として171百万円(約1.7億円)という非常に高い利益を計上しています。特に注目すべきは、787百万円(約7.9億円)にも上る、極めて潤沢な利益剰余金です。これは、同社のチームが2007年の「シナジーファンド」時代から15年以上にわたり、一貫して高い収益性を維持してきた歴史の証左であり、盤石の経営基盤を物語っています。

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
日本グロース・キャピタル(GCJ)は、未上場の中小企業への投資を専門とするプライベート・エクイティ・ファンドの運営会社です。その最大の特徴は、単なる資金提供者(モノ言う株主)に留まらず、投資先企業が抱える経営課題に深く入り込み、共に解決を目指す「ハンズオン型」の支援スタイルにあります。

 

中小企業の課題に特化した経営支援:

GCJは、中小企業が直面しがちな5つの共通課題(後継者問題、人材採用、管理体制、IT活用、M&A戦略)に対し、専門的な解決策を提供します。特に、日本の社会問題ともいえる「事業承継」では、外部経営者の招聘や内部人材の育成を通じて、企業の存続と成長を強力にサポートします。


豊富な実績とファンドレイズ能力:

現チームは2007年から活動を開始し、「シナジーファンド」シリーズを経て現在の「GCJグロース」ファンドに至るまで、一貫して中小企業投資で実績を積み上げてきました。40億円の1号ファンドから、直近の5号ファンドでは201億円と、ファンド規模を継続的に拡大させている事実は、機関投資家からその運用能力と戦略が高く評価されていることを示しています。


多様なポートフォリオ:

投資先は、工作機械メーカー(カネヒラ)、原子力関連の人材派遣(扶桑)、Webマーケティング(アークH.D)、レディースアパレルEC(BIRTHDAY BASH)など、業種や地域を問わず多岐にわたります。これは、特定の業界知識に依存するのではなく、中小企業経営に共通する課題を解決する普遍的なノウハウを有していることの証明です。


【財務状況と今後の展望・課題】
1.7億円という高い当期純利益と、8億円近い利益剰余金は、GCJがファンドのGP(無限責任組合員)として、安定した管理報酬と、過去の投資案件の成功に伴うキャリー(成功報酬)を着実に得ていることを示しています。この財務的な安定性が、長期的な視点でのハンズオン支援を可能にしています。

 

GCJのビジネスモデルは、日本の経済・社会にとって極めて重要な意義を持ちます。優れた技術やサービスを持ちながらも、後継者不足や経営ノウハウの欠如によって成長が止まってしまっている中小企業は数多く存在します。GCJは、そうした企業に「成長のための資本」と「経営のプロフェッショナル」を注入することで、企業のポテンシャルを最大限に引き出し、次の成長ステージへと導く「触媒」の役割を果たしています。

 

今後の展望として、中小企業の事業承継問題は今後さらに深刻化することが予想され、GCJのような専門的PEファンドへの期待と需要はますます高まるでしょう。GCJは、この領域におけるリーディング・プレイヤーとしての地位を確立しており、今後も優良な投資機会に恵まれる可能性は高いと考えられます。

 

課題としては、投資先のソーシング(発掘)競争の激化や、投資後の経営改善を成功に導くための高度な専門人材の確保・維持が挙げられます。しかし、15年以上の実績で培ったネットワークと、具体的な支援内容を明確に打ち出す同社のスタイルは、事業の未来を真剣に考えるオーナー経営者にとって、引き続き強い魅力となるでしょう。

 

日本の経済を足元から支える中小企業の活力を、金融と経営の両面から再興させる日本グロース・キャピタル。その活動は、単なる投資ビジネスの枠を超え、日本の未来に対する重要な貢献であると言えます。

 

企業情報
企業名: 日本グロース・キャピタル株式会社
所在地: 東京都中央区八重洲2-1-1 YANMAR TOKYO 5F
代表者: 代表取締役社長 西野 貴司
事業内容: 日本の中小企業を対象としたプライベート・エクイティ・ファンドの運営管理業務。後継者問題の解決、人材採用、管理体制構築など、ハンズオンでの経営支援を強みとする。

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