forest株式会社の第3期の決算公告(令和7年1月20日官報掲載)が公開されましたので、その概要を同社の事業内容とあわせてご紹介します。

第3期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 2,299百万円 (約23.0億円)
負債合計: 274百万円 (約2.7億円)
純資産合計: 2,026百万円 (約20.3億円)
当期純損失: 284百万円 (約2.8億円)
今回の決算では、当期純損失として284百万円(約2.8億円)が計上されています。資産合計は約23.0億円、負債合計は約2.7億円で、純資産合計は約20.3億円です。利益剰余金は▲736百万円(約▲7.4億円)とマイナス状態ですが、資本金100百万円(約1.0億円)および資本剰余金2,654百万円(約26.5億円)により純資産はプラスを維持しています。この財務構成は、創業以来の積極的な資金調達と事業投資を反映したものと考えられます。
事業内容と今後の展望(考察)
【事業内容の概要】
forest株式会社は、「日本のモノを育み、世界を彩る」をミッションに掲げ、EC(電子商取引)を基軸とした多角的な事業を展開する企業です。同社の公式ウェブサイトによると、主な事業は以下の4つで構成されています。
戦略投資事業(M&A):
Eコマースで展開される優れたD2C(Direct to Consumer)ブランドをM&Aを通じて譲り受け、同社の持つノウハウを注入して更なる成長を支援します。売上1億円以上のECブランドなどを対象とし、事業承継や成長投資といった形でブランドの可能性を最大化します。
流通販売事業:
M&Aでグループ化した多様なブランド(スマートフォンアクセサリーの「ガラスザムライ」、革小物の「GRAV」、お米ギフトの「ライスKING」など)のEコマース運営を主導します。商品企画からマーケティング、在庫管理、カスタマーサポートまでを一気通貫で手掛け、ブランド価値の向上を図ります。
リテールテック事業:
自社ブランドの運営で培った知見を活かし、他の小売事業者に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)支援を提供します。ECサイトの構築・運用支援やデジタルマーケティングなどを通じて、業界全体の成長に貢献します。
海外販売事業:
「Made in Japan」の優れた商品を世界に届けるため、越境ECサイト「omakase」や文房具・雑貨に特化した「Shibuya Stationery Store」を運営。中国・杭州にも現地法人を設立し、グローバルな販売網を構築しています。
【財務状況と今後の展望・課題】
第3期決算で当期純損失が▲284百万円(約▲2.8億円)となった背景には、同社の急成長を支えるための戦略的な先行投資があると推察されます。2021年の創業以来、同社は毎年のように複数のM&Aを実行し、ブランドポートフォリオを急速に拡大してきました。これらのM&Aに伴う取得費用や、買収後の統合プロセス(PMI)、さらには自社物流拠点の設立、リテールテックや海外販売といった新規事業への投資が、現在の損失の主な要因と考えられます。貸借対照表に見られる固定資産が1,026百万円(約10.3億円)計上されている点も、M&Aによって生じたのれんや、物流拠点・システム等への積極的な投資を示唆している可能性があります。
同社が取り組む「ECアグリゲーター(ロールアップ)」というビジネスモデルは、個々のブランドが持つポテンシャルを、共通のプラットフォームと専門知識によって最大化できるという点で非常に大きな強みを持っています。特に、マーケティング、サプライチェーン、テクノロジー活用といったEC運営の根幹を担う機能を集約することで、スケールメリットを創出し、各ブランドが単独では成し得なかった成長を実現できる点が競争優位性となっています。これまでに累計40億円超の資金調達を成功させていることや、アンカー・ジャパンのCEOなど著名な経営者をアドバイザーに迎えていることも、そのビジネスモデルへの高い期待の表れと言えるでしょう。
しかしながら、急成長の裏側には収益性の確立という重要な課題も存在します。現状の損失は、事業の成長フェーズにおける戦略的な投資期間と捉えることができますが、M&Aで取得したブランドを確実に成長させ、ポートフォリオ全体として利益を生み出す体制を早期に構築することが不可欠です。多様なブランドと人材を束ねる高度な組織運営能力と、投資を回収し黒字化へ転換させるための明確な戦略が求められます。
今後のマイルストーンとしては、既存ブランドの継続的な成長はもちろんのこと、リテールテック事業の収益化や、中国・杭州の拠点を活用した海外事業の本格的な拡大が挙げられます。同社がこれらの課題を克服し、M&Aと自社開発の両輪で「日本発の世界ブランドを多く輩出する」というビジョンを実現できるか、その戦略と実行力に引き続き注目が集まります。
企業情報
企業名: forest株式会社
所在地: 東京都渋谷区神南一丁目4番9号 テアトル神南オフィス棟6F
代表者: 代表取締役CEO 湯原 伸悟
事業内容: 日本のD2C/ECブランドをM&Aで譲り受け、マーケティングやサプライチェーン等の改善を通じて成長を支援する戦略投資事業を中核に、流通販売事業、リテールテック事業、海外販売事業を展開。