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#599 決算分析 : 株式会社ワンメディカ 第3期決算 当期純利益 ▲143百万円

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「国境を超えて、すべての人の健康により多くより良い選択肢を」。この壮大なミッションを掲げ、2022年7月に創業した株式会社ワンメディカ。日本の最先端医療と、それを求める海外の患者を繋ぐプラットフォーム事業を展開する同社の第3期(2024年9月期)の決算公告が、2024年12月10日付の官報に掲載されました。設立間もないスタートアップの決算書から、医療ツーリズムという巨大市場に挑む同社の戦略と、日本の医療が持つ国際的な可能性を読み解きます。

20240930_3_ワンメディカ決算

第3期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 256百万円 (約2.6億円)
負債合計: 210百万円 (約2.1億円)
純資産合計: 46百万円 (約0.5億円)
当期純損失: 143百万円 (約1.4億円)


設立3期目のスタートアップである同社は、当期純損失として約1.4億円、累積損失(利益剰余金のマイナス)は約2.1億円を計上しています。これは、事業の立ち上げと急成長に向けた、典型的な先行投資フェーズにあることを示しています。

 

しかし、その背景には極めてポジティブな事実があります。資本金と資本剰余金の合計が2.6億円に達している点は、同社が事業の将来性を高く評価され、外部からの資金調達に成功していることを物語っています。実際に、同社は2023年12月に、ANRIなどの有力ベンチャーキャピタルからシリーズAラウンドとして総額3.5億円の資金調達を実施したことを発表しており、今回の決算書は、その調達資金を元手に事業基盤の構築を強力に推し進めている過程を映し出していると言えるでしょう。

 

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
株式会社ワンメディカは、日本の高度な医療サービスを、主に中国をはじめとする海外の患者に届けるための「国際医療プラットフォーム」を運営しています。言語、文化、制度といった様々な壁を取り払い、最適な医療へのアクセスをワンストップで提供します。

 

訪日医療サポート:

がん研有明病院、東大病院、虎の門病院といった日本のトップクラスの医療機関と提携。患者の医療情報に基づき、最適な治療が受けられる病院とのマッチングを行います。さらに、医療ビザの取得支援、来日中の宿泊・交通の手配、専門の医療通訳によるアテンドまで、患者が治療に専念できる環境を包括的にサポートします。

 

オンライン・セカンドオピニオン:

来日が困難な患者でも、遠隔で日本の権威ある専門医から第二の意見を得られるサービスを提供。治療方針の決定における重要な選択肢となります。

 

国際医療交流の促進:

日本の先進的な医療技術や理念を、ウェビナー等を通じて海外の医療従事者や患者に紹介。両国の医療機関の交流を促進し、国際医療の架け橋となることを目指しています。

 

【財務状況と今後の展望・課題】
今回の決算における1.4億円の損失は、事業の根幹をなす「信頼」の構築に向けた戦略的な投資の結果と見ることができます。具体的には、①日本のトップティアの医療機関・医師とのネットワーク構築、②言語や文化の壁を越えて円滑なコミュニケーションを実現するプラットフォームの開発、③専門性の高い医療通訳やアテンドスタッフといったサービス体制の構築などに、調達した資金が投下されていると推察されます。これらは、質の高い医療サービスを提供する上で不可欠な、未来への礎です。

 

日本の医療を世界へ開く「架け橋」
日本の医療、特にがん治療(粒子線治療など)、高度な外科手術、精密な人間ドックは世界的に高く評価されています。しかし、海外の患者がこれらの医療にアクセスするには、依然として多くの障壁が存在します。ワンメディカの事業は、この「医療の国境」という社会課題を解決し、日本の優れた医療資源を世界に開くという大きな社会的意義を持っています。これは、患者に新たな希望をもたらすだけでなく、日本の医療機関にとっても新たな収益源となり、国際競争力を高める上で非常に重要です。

 

同社の最大の強みは、その「卓越した医療ネットワーク」にあります。各分野を代表する日本の権威ある医師たちがアドバイザーやパートナーとして名を連ねている事実は、他社が容易には模倣できない参入障壁であり、提供するサービスの質と信頼性を何よりも雄弁に物語っています。

 

今後の課題は、この先行投資フェーズを経て、いかに事業をスケールさせ、収益化を達成するかです。シリーズAで調達した資金を元にサービス体制を強化し、より多くの海外患者と日本の医療機関をマッチングさせることで、プラットフォームとしての価値を高めていく必要があります。事業の拡大に伴い、きめ細やかなサポート体制や医療通訳の質といった、高いサービス品質をいかに維持・向上させていくかも、顧客満足度を左右する重要な鍵となるでしょう。

 

株式会社ワンメディカは、まだ産声を上げたばかりの若い企業ですが、その視線は世界へと向いています。日本の医療が持つ大きなポテンシャルを解き放ち、一人でも多くの患者に希望の光を届ける、医療インバウンドの旗手へ。その成長ストーリーは、今まさに始まったばかりです。

 

企業情報
企業名: 株式会社ワンメディカ
所在地: 東京都港区東新橋2丁目3番3号 ルオーゴ汐留 5階
代表者: 代表取締役 鳥巣 知得
事業内容: 2022年設立。中国を始めとする海外の患者向けに、日本の最先端医療サービス(訪日治療、オンラインセカンドオピニオン等)を提供する国際医療プラットフォームを運営。日本のトップクラスの医療機関と多数提携。

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