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#535 大倉商工株式会社 第104期決算 当期純利益 28百万円

大倉商工株式会社の第104期(2025年3月期)の決算公告が、2025年6月2日に掲載されましたので、その概要をピックアップします。

20250331_104_大倉商工決算

第104期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 2,107百万円 (約21.1億円)
負債合計: 505百万円 (約5.1億円)
純資産合計: 1,603百万円 (約16.0億円)
当期純利益: 28百万円 (約0.3億円)


今回の決算では、当期純利益として28百万円(約0.3億円)が計上されています。資産合計は約21.1億円、負債合計は約5.1億円で、純資産合計は約16.0億円です。利益剰余金は1,503百万円(約15.0億円)と潤沢な状態であり、資本金100百万円(約1.0億円)と合わせて、強固な財務基盤を維持しています。

 

特筆すべきは、自己資本比率が約76.1%(=1,603百万円 ÷ 2,107百万円)と非常に高い水準にある点です。これは、同社がウェブサイトで公表している「自己資本比率74.6%(2024年3月期)」「無借金経営」という健全な財務体質を裏付けるものであり、安定した経営基盤を示しています。 

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
大倉商工株式会社は、日立グループの製品を中心とした産業用機器・設備の専門商社であり、エンジニアリング企業です。同社の公式ウェブサイトによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

 

日立製品の販売: 空気圧縮機、クレーン、空調設備、産業用モーター、受変電設備、制御機器など、工場の生産ラインや社会インフラに不可欠な日立製の高品質な製品を幅広く取り扱っています。


エンジニアリング・サービス: 機器の販売にとどまらず、顧客の課題解決に向けたコンサルティング、設備導入のプランニング、設計・施工、そして導入後のメンテナンスまで一貫したサービスを提供しています。


カスタム製品の提案: 標準仕様の製品では対応が難しい顧客の要望に対し、日立グループ各社との緊密な連携のもと、ユーザー仕様のカスタム製品を提案できる高い技術対応力を持っています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第104期決算で当期純利益28百万円(約0.3億円)を確保した背景には、長年にわたり培ってきた日立グループとの強固なパートナーシップと、顧客の生産性向上に貢献する総合的なソリューション提供力があると推察されます。単なる「モノ売り」ではなく、顧客の課題に寄り添い、設計からメンテナンスまでワンストップで対応できる体制が、安定した収益基盤を支えています。

 

貸借対照表に見られる固定資産が161百万円(約1.6億円)と、総資産に対して比較的小規模である点は、自社で大規模な製造設備を持たない技術商社としてのビジネスモデルを反映していると考えられます。資産を効率的に活用し、高い自己資本比率と無借金経営を実現している点は、同社の堅実な経営手腕を示唆しています。

 

大倉商工株式会社が取り組む事業は、製造業における省エネルギー化、生産効率の向上、そして設備の安定稼働という、現代社会の重要な要請に応えるものです。特に、同社が強みとする以下の点は、今後の成長において重要な推進力となるでしょう。

 

日立グループとの強固な連携: 高品質・高信頼性を誇る日立製品を扱えることに加え、技術的なバックアップやカスタム対応においても優位性を発揮します。


ワンストップのソリューション提供力: 顧客は、設備の導入から保守までを安心して任せることができ、これが高い顧客満足度と長期的な関係構築につながっています。


専門性の高い人材: 日立グループとの連携による技術研修などを通じて社員のスキルアップを図り、専門的なコンサルティングを提供できる体制を構築しています。


健全な財務基盤: 約76.1%という高い自己資本比率と無借金経営は、市況の変動に対する高い耐性を持ち、将来の成長に向けた戦略的な投資を可能にします。


しかしながら、日立製品への依存度が高いビジネスモデルは、日立グループの戦略転換などの影響を受けるリスクも内包しています。また、技術革新のスピードが速い産業機器分野において、常に最新の技術知識を習得し、顧客に最適な提案をし続けるための継続的な人材育成は、恒久的な課題と言えるでしょう。

 

今後のマイルストーンとしては、IoTやAIといった最新技術を活用した新たなソリューションの展開が挙げられます。例えば、同社が扱う空圧サービスにIoT機器を組み合わせ、予知保全やエネルギー効率の最適化といった付加価値の高いサービスを提供することで、事業の幅をさらに広げることが期待されます。

 

大倉商工株式会社が、その強固な事業基盤と財務体質を活かし、これらの課題を乗り越え、日本のものづくりを支えるソリューション・パートナーとして持続的な成長を遂げられるか、その戦略と実行力に引き続き注目が集まります。

 

企業情報
企業名: 大倉商工株式会社(大倉グループ)
所在地: 東京都大田区羽田1-7-12
代表者: 代表取締役社長 岸本 成則
事業内容: 日立製作所及び関連企業の製品(産業電気機器、受変電設備、空調設備、省エネ機器等)の販売、ならびに設備工事、コンサルティングからメンテナンスまでを含むエンジニアリングサービス業務。

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