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#502 決算分析 : 日清物流株式会社 第37期決算 当期純利益 358百万円

日清オイリオグループ株式会社の100%子会社であり、グループの食物流を担う中核企業、日清物流株式会社の第37期(令和7年3月期)の決算公告が、令和7年6月4日付の官報に掲載されましたので、その概要と事業内容を分析します。

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第37期 決算のポイント(単位:百万円)

資産合計: 11,658百万円 (約116.6億円)
負債合計: 2,479百万円 (約24.8億円)
純資産合計: 9,179百万円 (約91.8億円)
当期純利益: 358百万円 (約3.6億円)


今回の決算では、当期純利益として358百万円(約3.6億円)という力強い利益を計上しました。特筆すべきは、総資産約116.6億円に対して純資産が約91.8億円と、自己資本比率が約79%という極めて高い水準にあることです。利益剰余金も8,990百万円(約89.9億円)と非常に潤沢であり、これは同社が長年にわたり安定した高収益を上げ続けてきたことの証左であり、盤石の財務基盤を誇っています。

 

事業内容と今後の展望(考察)

 

【事業内容の概要】
日清物流株式会社は、日清オイリオグループサプライチェーンを支えるため、食用油やその原料に特化した高度な物流サービスを展開しています。公式サイトによると、事業は以下の4つの柱で構成されています。

 

運輸事業: 全国の8センターを拠点に、日清オイリオグループの主力製品である食用油(パッケージ品・バルクオイル)の荷役、保管、輸配送を一手に担っています。


流通加工事業: 主に「日清オイリオギフト」のセッティング業務を手掛けています。ISO9001認証を取得した高い品質管理体制の下、正確な納期対応で顧客から高い評価を得ています。
サイロ・ミール事業: 日清オイリオグループ横浜磯子工場で搾油される原料(油糧種子)や、玄そば、食品大豆、ミール(油粕)などの保管、荷役、撰別、配送を行う、原料物流の心臓部です。


倉庫・タンク事業: 横浜、大阪、福岡の主要港で保税蔵置場の許可を取得。乳製品、穀物、植物油脂といった輸入品の通関から保管、搬出入までをワンストップで提供しています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第37期決算で3.6億円もの高い純利益を達成できたのは、日清オイリオグループという巨大な事業基盤を背景に、食用油という生活必需品の安定した物流需要を着実に収益化しているためです。さらに、単なる輸送・保管に留まらず、ギフト商品のセッティングといった付加価値の高い流通加工事業や、原料の取り扱いという専門性の高い領域まで手掛けていることが、高い収益性に繋がっていると推察されます。

 

貸借対照表上の固定資産3,698百万円(約37.0億円)は、全国8箇所の物流センターや、原料を保管する巨大なサイロ、製品を保管するタンク、倉庫群など、食用油の品質を維持し安定供給するための大規模な設備投資を物語っています。

 

物流業界が「2024年問題」などの構造的課題に直面する中、同社のように特定の分野(食用油とその周辺)に深く特化したビジネスモデルは、非常に強固です。温度管理や品質管理に関する高度なノウハウは、他社が容易に模倣できない競争優位性の源泉となっています。

 

今後の展望としては、この専門性をさらに深掘りしていくことが期待されます。例えば、健康志向の高まりで多様化する植物油の種類に対応した管理体制の強化や、流通加工における自動化投資による生産性向上などが考えられます。また、日清オリイオグループで培ったノウハウを、同様の厳格な品質管理を求める他の食品メーカーへ3PLサービスとして展開していく道も考えられるでしょう。日本の食卓に欠かせない「食用油」の安定供給を支えるという社会的に重要な役割を担い、その盤石な財務基盤と専門性を武器に、今後も着実な成長を続けていくものと見られます。

 

企業情報

企業名: 日清物流株式会社
所在地: 横浜市磯子区新森町1番地
代表者: 代表取締役社長 森川 聡
事業内容: 日清オイリオグループの100%子会社として、食用油やその原料の輸送・保管・荷役、ギフト製品の流通加工、サイロ・タンク運営、国際物流などを手掛ける食品物流のスペシャリスト。

www.nisshin-nlc.com

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