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#507 決算分析 : Rapyuta Robotics株式会社 第11期決算 当期純利益 ▲2,475百万円

Rapyuta Robotics株式会社の第11期(令和6年12月31日現在)の決算公告が掲載されましたので、その概要をピックアップします。

Rapyuta Robotics決算

第11期 決算のポイント(単位:百万円)

資産合計: 5,174 (約51.7億円)
負債合計: 4,145 (約41.5億円)
純資産合計: 1,028 (約10.3億円)
当期純損失: 2,475 (約24.8億円)


今回の決算では、当期純損失として2,475百万円(約24.8億円)が計上されています。これにより利益剰余金は▲11,272百万円(約▲112.7億円)のマイナスとなり、株主資本もマイナス(債務超過)の状態です。しかし、これは事業の失敗を意味するものではなく、将来の大きな成長に向けた戦略的な先行投資のステージにあることを示しています。

 

事業内容と今後の展望(考察)

【事業内容の概要】
Rapyuta Robotics株式会社は、ロボティクス・スタートアップです。同社の公式ウェブサイトなどによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

 

クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」の開発・提供: 複数のロボットをクラウド上で統合制御し、協調動作させるためのプラットフォームを開発。これにより、ロボット導入の複雑さを解消し、柔軟な自動化ソリューションの構築を可能にします。


物流自動化ソリューション: 「rapyuta.io」を核として、ピッキングアシストロボット(PA-AMR)や、2024年度グッドデザイン金賞を受賞した自在型自動倉庫「ラピュタASRS」など、主に物流倉庫の自動化・省人化に貢献するソリューションを提供しています。


「3K」な仕事の自動化: 「きつい・汚い・危険」な労働から人々を解放し、より創造的な仕事に挑戦できる社会の実現をビジョンに掲げています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第11期決算で2,475百万円(約24.8億円)という多額の当期純損失が計上され、利益剰余金がマイナス(繰越損失)となっている背景には、世界トップレベルの技術開発や優秀な人材の獲得、そして市場シェア拡大のためのマーケティング活動への大規模で戦略的な投資があります。貸借対照表に見られる資本剰余金が10,391百万円(約103.9億円)と巨額である点は、同社がこれまでに大型の資金調達に成功し、投資家から高い期待を寄せられていることの証左です。

 

Rapyuta Roboticsが取り組む事業は、物流業界が直面する深刻な人手不足という社会課題を解決するものであり、極めて高い成長ポテンシャルを秘めています。特に、世界的な研究機関から生まれた高度な技術力と、それを「ラピュタASRS」のような具体的なソリューションとして市場に投入する実行力は、同社の明確な強みです。

 

しかしながら、現状は研究開発・市場開拓への先行投資フェーズであり、事業の収益化が最大の課題です。赤字額の大きさは、裏を返せばそれだけ大きな投資を行っているということですが、今後は導入実績を積み重ね、売上を飛躍的に成長させていく必要があります。また、ロボティクス市場の競争は激化しており、技術的優位性を保ち続けるための継続的な研究開発が不可欠です。

 

今後のマイルストーンとしては、主力製品である「ラピュタASRS」の導入件数を拡大し、プラットフォーム事業としての収益モデルを確立することが挙げられます。Rapyuta Roboticsが現在の投資フェーズを乗り越え、日本の物流DXを牽引するリーディングカンパニーへと飛躍できるか、その革新的な技術とビジネスのスケールに大きな注目が集まります。

 

企業情報
企業名: Rapyuta Robotics株式会社
所在地: 東京都江東区平野4-10-5
代表者: 代表取締役CEO モーハナラージャー・ガジャン、代表取締役CFO クリシナムルティ・アルドチェルワン
事業内容: クラウドロボティクス・プラットフォーム「rapyuta.io」と、それを用いたピッキングアシストロボットや自動倉庫システム(ASRS)など、物流領域を中心としたロボット自動化ソリューションの開発・提供。

www.rapyuta-robotics.com

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