決算公告データ倉庫

いつか、なにかに役立つかもしれない決算公告データを自分用に収集しストックしている倉庫です。自分用のため網羅的ではありませんが、気になる業界・企業等を検索してみてください!なお、引用する決算公告を除いた記事本文の正確性/真実性は保証できません。

#458 キャス・キャピタル株式会社 第22期決算 当期純利益 ▲84百万円

キャス・キャピタル株式会社の第22期(令和6年11月30日現在)の決算公告が、令和7年2月28日付の官報に掲載されましたので、その概要をピックアップします。

20241130_22_キャス・キャピタル決算

第22期 決算のポイント(単位:百万円)
資産合計: 765百万円 (約7.7億円)
負債合計: 24百万円 (約0.2億円)
純資産合計: 741百万円 (約7.4億円)
当期純損失: 84百万円 (約0.8億円)


今回の決算では、当期純損失として84百万円(約0.8億円)が計上されています。資産合計は約7.7億円、負債合計は約0.2億円で、純資産合計は約7.4億円です。利益剰余金は646百万円(約6.5億円)と黒字状態ですが、資本金95百万円(約1.0億円)により純資産はプラスを維持しています。貸借対照表上の特徴としては、固定資産が421百万円(約4.2億円)計上されており、これは同社の事業モデルである投資先等の有価証券の保有等を反映しているものと考えられます。

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
キャス・キャピタル株式会社は、2003年に設立された日本の独立系プライベート・エクイティ(PE)ファンドです。同社の公式ウェブサイトによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

 

プライベート・エクイティ投資: 大企業の非中核(ノンコア)事業部門や子会社、事業承継問題を抱える中堅・中小企業を主な投資対象としています。マネジメント・バイアウトMBO)やマネジメント・バイ・イン(MBI)などの手法を用い、企業価値50億円から500億円程度の案件を中心に手がけています。


ハンズオンでの経営支援: 投資先に対して、単に資金を提供するだけでなく、社外取締役の派遣や経営管理体制の強化、国内外の企業買収・事業提携の支援などを通じて、経営に深く関与(ハンズオン)します。これにより、投資先企業の「明日」の礎を築き、企業価値の向上を図ることを特徴としています。


多様な業種への投資実績: これまでに、食品、外食、建設、動物病院、フォトウェディングサービス、人材サービスなど、幅広い業種の企業への投資実績があります。投資後は、株式上場(IPO)や大手企業への売却といった形でエグジット(投資回収)を成功させています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第22期決算で当期純損失が84百万円(約0.8億円)となった背景には、PEファンドというビジネスモデルの特性が関係していると推察されます。損失の要因としては、新規投資先の開拓や既存投資先の価値向上に向けた先行的な費用、あるいは投資先の評価方法の変更や一部事業の市況変動などが考えられます。

 

同社は「日本に強い会社を作る」という理念の下、特に事業承継問題を解決し、企業の成長を支援することに社会的意義を見出しています。豊富な投資実績と、金融機関やコンサルティングファーム出身者からなる専門性の高いチームによるハンズオン支援が同社の強みであり、競争優位性の源泉となっています。

 

しかしながら、現状の損失は、事業の成長フェーズにおける戦略的な投資期間を考慮すればある程度想定されるものの、継続的な新規優良案件の発掘と、投資先の企業価値を着実に向上させ、安定的にエグジット(投資回収)に繋げていくことが今後の重要な課題です。特に、金利動向や景気変動といったマクロ経済環境は、M&A市場や投資先の業績に直接的な影響を与えるため、的確なポートフォリオ管理とリスク管理が求められます。

 

2025年4月には、新たなバイアウト投資ファンド「キャス・キャピタル・ファンド八号」の設立とファースト・クローズ完了を発表しており、今後も積極的に日本の中堅・中小企業への投資を行っていく方針です。キャス・キャピタル株式会社がこれらの課題を克服し、日本の産業活性化に貢献しながら持続的な成長を実現できるか、その戦略と実行力に引き続き注目が集まります。

 

企業情報
企業名: キャス・キャピタル株式会社
所在地: 東京都千代田区一番町2番地
代表者: 川村 治夫
事業内容: 大企業の非中核事業や中堅・中小企業を対象としたプライベート・エクイティ投資事業。投資先へのハンズオンでの経営支援を通じて企業価値向上を図る。

www.cascapital.com