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#427 株式会社池田模範堂 第77期決算 当期純利益 1,933百万円

株式会社池田模範堂の第77期の決算公告が掲載されましたので、その概要をピックアップします。

池田模範堂決算

第77期 決算のポイント(単位:百万円)

資産合計: 41,794 (約417.9億円)
負債合計: 6,515 (約65.2億円)
純資産合計: 35,279 (約352.8億円)
当期純利益: 1,933 (約19.3億円)


今回の決算では、当期純利益として1,933百万円(約19.3億円)という高い利益が計上されています。資産合計は約417.9億円、負債合計は約65.2億円です。特筆すべきは純資産合計が約352.8億円、中でも利益剰余金が35,784百万円(約357.8億円)と極めて潤沢に積み上がっており、100年以上にわたる堅実な経営によって築かれた盤石の財務基盤を物語っています。また、自己株式を約6.1億円保有しています。

事業内容と今後の展望(考察)

 

【事業内容の概要】
株式会社池田模範堂は、1909年に富山県で創業した老舗の製薬会社です。「唯一無比のこだわりで『心に残る喜び』を生み出し よりよい日常に変えていく」をパーパス(存在意義)に掲げ、外用薬(塗り薬)の分野、特に「かゆみ」領域において圧倒的なトップブランドを確立しています。同社の公式ウェブサイトなどによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

同社のパーパス・理念体系は非常にきれいに良く整理されているので、このwebサイトは見る価値があると思います。

www.ikedamohando.co.jp

 

「ムヒ」ブランド製品の製造販売: 「虫さされ、かゆみに」のキャッチフレーズで国民的な知名度を誇る「ムヒ」シリーズが中核事業。クリーム、液体、パッチタイプなど、用途や年齢に応じた多彩なラインナップを展開しています。


各種スキンケア治療薬の製造販売: 「ムヒ」で培った技術と知見を応用し、ひび・あかぎれ治療薬「ヒビケア」、デリケートエリアのかゆみ治療薬「デリケアM's」、汗かぶれ治療薬「アセムヒEX」など、特定の肌トラブルに特化した高機能な製品を開発・販売しています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第77期決算で19.3億円もの当期純利益を計上し、利益剰余金が約358億円に達していることは、同社の事業がいかに高い収益性と安定性を両立しているかを明確に示しています。この背景には、絶対的なブランド力を持つ「ムヒ」の安定した売上、そして消費者の潜在的なニーズを的確に捉えた「ヒビケア」などの派生ブランドの成功があると考えられます。固定資産が約90.7億円と大きいのは、富山県にある本社や最新鋭の生産工場、品質管理・研究開発施設への継続的な投資を反映していると推察されます。

 

株式会社池田模範堂の最大の強みは、「かゆみ」という特定の領域に経営資源を集中させ、他社の追随を許さない圧倒的な専門性とブランド力を築き上げたことです。「虫さされ・かゆみといえばムヒ」という消費者からの絶大な信頼は、一朝一夕では築けない無形の資産です。

 

しかしながら、国内の医薬品市場が成熟期にある中で、いくつかの課題も存在します。主力製品が夏場の季節商品であり、天候不順や冷夏などの気候変動が業績に影響を与えるリスク。また、国内人口の減少による市場の緩やかな縮小も長期的には無視できません。

 

今後のマイルストーンとしては、この盤石な財務基盤とブランド力を活かした、さらなる成長戦略が期待されます。具体的には、①「かゆみ」領域の深耕(乾燥性敏感肌、アトピー傾向の肌など、より専門的な肌悩みに対応する製品開発)、②「かゆみ」で培った技術を応用した新たなスキンケア領域(アンチエイジングなど)への進出、③海外展開の加速(特に虫さされの機会が多い東南アジアなどの市場)が考えられます。株式会社池田模範堂が、100年企業としての安定感を保ちつつ、次の100年に向けてどのように「変身への挑戦」を続けていくのか、その動向から目が離せません。

 

企業情報

企業名: 株式会社池田模範堂
所在地: 富山県中新川郡上市町神田16番地
代表者: 池田 嘉津弘
事業内容 (公式サイト等より): 医薬品、医薬部外品、化粧品等の製造販売。「ムヒ」ブランドを中核とする、かゆみ・肌トラブル治療薬の開発・製造・販売。

www.ikedamohando.co.jp

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