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#382 Symbiobe株式会社 第4期決算 当期純利益 ▲129百万円

微細藻類バイオテクノロジーの研究開発を手掛けるSymbiobe株式会社の第4期の決算公告が掲載されましたので、その概要をピックアップします。

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第4期 決算のポイント(単位:百万円)

資産合計: 817百万円 (約8.2億円)
負債合計: 13百万円 (約0.1億円)
純資産合計: 804百万円 (約8.0億円)
当期純損失: 129百万円 (約1.3億円)


今回の決算では、当期純損失として129百万円(約1.3億円)が計上されています。 資産合計は約8.2億円、負債合計はわずか約0.1億円で、純資産合計は約8.0億円です。利益剰余金は▲277百万円(約▲2.8億円)とマイナス(繰越損失を計上)状態ですが、これは微生物という先端技術分野における研究開発への集中的な取り組みと、事業化に向けた先行投資期間にあるためと考えられます。特筆すべきは、資本金100百万円(約1.0億円)および非常に厚い資本剰余金981百万円(約9.8億円)により、利益剰余金のマイナスを十分にカバーし、純資産は約8億円と厚く、研究開発活動を支える強固な財務基盤を維持しています。負債が極めて少ない点も、財務の安定性を示しています。

事業内容と今後の展望(考察)

 

【事業内容の概要】
Symbiobe株式会社は、「Symbiosis between humans and the globe through the power of microbes」をミッションに掲げ、特異な能力を持つ「海洋性紅色(こうしょく)光合成細菌」を活用したバイオテクノロジーの研究開発、生産、そして多様な産業への応用を目指す企業です。この微生物は、太陽光を利用して光合成を行い、その際に空気中の二酸化炭素(CO2)や水中の窒素を生物躯体に固定し、海水中のミネラルを栄養源として増殖するという特徴を持っています。これにより「空気を資源化する」という革新的なアプローチを実現しようとしています。同社の公式ウェブサイトなどによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

 

海洋性紅色光合成細菌の研究開発・培養技術: 有用な海洋性紅色光合成細菌の探索、育種、そしてCO2を直接利用する効率的な培養技術の開発。これはカーボンリサイクル技術としての側面も持ち合わせています。


【財務状況と今後の展望・課題】
第4期決算で当期純損失129百万円を計上し、利益剰余金がマイナスとなっているのは、同社が革新的な技術シーズである海洋性紅色光合成細菌の応用展開と事業化を目指す研究開発型スタートアップであり、現在が積極的な投資フェーズにあることを示しています。注目すべきは、約9.8億円という潤沢な資本剰余金であり、これはエクイティファイナンスによる資金調達が順調に進んでいることを示唆しています。

 

Symbiobe株式会社が取り組む海洋性紅色光合成細菌を活用した技術は、持続可能な食糧生産(飼料、農業資材、水産養殖の効率化・環境負荷低減)、人々の健康増進、そしてCO2固定による地球温暖化対策や窒素循環への貢献といった環境保全にも繋がる、極めて将来性の高い分野です。同社の強みは、この特異な微生物に関する深い知見と独自の培養・応用技術、そしてサステナビリティへの強いコミットメントにあると考えられます。

 

しかしながら、研究開発型スタートアップが直面する一般的な課題として、研究開発の成果をいかに早期に商業生産に結びつけ、収益化を達成するかが挙げられます。また、培養技術のスケールアップ、安定的な生産体制の確立、各応用分野での市場開拓と販路確保、そして継続的な研究開発資金の調達も重要なポイントです。

 

今後のマイルストーンとしては、各製品(「Symbiobe Pro」「Symbiobe Aqua」「Symbiobe Agri」「Symbiobe Powder」)の市場浸透と販売拡大、海洋性紅色光合成細菌のCO2固定能力を活かしたカーボンリサイクル技術としての実用化推進、大手企業とのアライアンス締結による事業展開の加速などが期待されます。Symbiobe株式会社が、その革新的な技術と強固な財務基盤を活かして「死の谷」を越え、海洋性紅色光合成細菌の持つ力を社会実装していくことができるのか、その挑戦に大きな注目が集まります。

 

企業情報

企業名: Symbiobe株式会社
所在地: 京都市西京区御陵大原1番地39 桂ベンチャープラザ南館
代表者: 伊藤 宏次
事業内容 (公式サイト等より): 海洋性紅色光合成細菌を活用したバイオテクノロジーの研究開発・供給等。

www.symbiobe.jp

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