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#314 株式会社桜顔酒造 第73期決算 当期純利益 ▲29百万円

株式会社桜顔酒造の第73期の決算公告(決算日:2025年2月28日)が掲載されましたので、その概要をピックアップします。

20250228_73_桜顔酒造決算

第73期 決算のポイント(単位:百万円)

資産合計: 518 (約5.2億円)
負債合計: 421 (約4.2億円)
純資産合計: 97 (約1.0億円)
当期純損失: 29 (約0.3億円)


今回の決算では、当期純損失として29百万円(約0.3億円)が計上されています。 資産合計は約5.2億円、負債合計は約4.2億円で、純資産合計は約1.0億円です。利益剰余金は▲102百万円(約▲1.0億円)と赤字状態ですが、資本金90百万円(約0.9億円)および資本剰余金110百万円(約1.1億円)により純資産はプラスを維持しています。貸借対照表を見ると、固定資産が392百万円(約3.9億円)と総資産の約75.7%を占めており、これは酒造りに必要な土地、酒蔵、製造設備等への投資を反映していると考えられます。

事業内容と今後の展望(考察)


【事業内容の概要】
株式会社桜顔酒造は、岩手県盛岡市において清酒製造業を主軸に事業を展開しています。 同社の公式ウェブサイトなどによると、主な事業として以下の点が挙げられます。

 

清酒の製造・販売:代表銘柄「桜顔」をはじめ、南部杜氏の伝統技術と最新設備を融合させ、岩手県産の米や酵母にこだわった多様な日本酒(純米大吟醸純米吟醸特別純米酒など)を提供。


【財務状況と今後の展望・課題】

第73期決算で当期純損失が29百万円(約0.3億円)、利益剰余金が▲102百万円(約▲1.0億円)の赤字となった背景には、原材料価格の高騰、エネルギーコストの上昇、国内市場における日本酒消費量の変動、あるいは品質向上のための設備投資や研究開発費の負担などが考えられます。固定資産の比率が高いことは、高品質な酒造りを追求するための投資の結果である一方、減価償却費や維持管理コストが収益を圧迫する要因となる可能性も示唆しています。

 

同社が取り組む事業は、日本の伝統文化である日本酒の製造・普及を通じて、地域経済の活性化や食文化の継承に貢献するという点で社会的な意義があります。特に、南部杜氏の技という無形資産、岩手県産の良質な原料へのこだわり、そして親会社であるヨシムラ・フード・ホールディングスとの連携は、今後の成長において重要な推進力となるでしょう。

 

しかしながら、累積損失を抱え、当期も赤字計上となったことは、収益構造の改善が最優先課題であることを示しています。現状の損失は、伝統産業が直面する構造的な課題(国内市場の縮小、後継者問題、価格競争など)や、さらなる品質追求のための投資の結果とも考えられますが、継続的なコスト削減努力、高付加価値商品の開発・販売強化(例:海外市場向け限定品、特定米使用のプレミアム酒など)、新たな販路の開拓(EC強化、輸出拡大)、そしてブランド力の向上が不可欠です。

 

今後のマイルストーンとしては、具体的な新製品の開発計画や、海外展開の拡大戦略(特にアジア市場など)、親会社とのシナジーを活かした共同開発や販路拡大などが挙げられます。同社がこれらの課題を克服し、財務体質の改善を果たし、岩手が誇る酒蔵としてのブランド価値を高め、国内外で愛される製品を提供し続けられるか、その取り組みと成果に引き続き注目が集まります。

 

企業情報

企業名: 株式会社桜顔酒造(ヨシムラ・フード・ホールディングスグループ)
所在地: 岩手県盛岡市川目町23番18号
代表者: 代表取締役 工藤 明
事業内容 (公式サイト等より): 岩手県盛岡市にて、南部杜氏の伝統技術を活かし、代表銘柄「桜顔」をはじめとする清酒の製造・販売を行う。

sakuragao.com