東京都港区に拠点を置き、テクノロジー領域の成長企業への投資で知られるミネルバ・グロース・パートナーズ株式会社の令和6年の決算公告が掲載されました。同社の投資戦略やポートフォリオにも触れながら、その概要と考察をピックアップします。

決算のポイント(単位:千円)
資産合計: 159,604 (約1.6億円)
負債合計: 104,359 (約1.0億円)
純資産合計: 55,244 (約0.6億円)
当期純利益: 22,600
今回の決算では、当期純利益として22,600千円(約2,260万円)を計上しています。
資産合計は約1.56円、負債合計は約1.0億円に対し、純資産合計は約0.6億円と、健全な財務状態を維持しています。資本金500万円に対し、利益剰余金が約5,000万円積み上がっており、ファンド運営等の業務が堅調に推移していることがうかがえます。
事業内容と投資戦略・実績
ミネルバ・グロース・パートナーズ(MGP)は、テクノロジー領域における成長企業にフォーカスしたプライベート・エクイティファンドの運営を核とし、未上場企業へのグロースステージ投資に加え、上場企業の非公開化(MBO)やPIPEs(上場企業への第三者割当増資の引受け)、カーブアウト(事業部門や子会社の切り出し)など、多岐にわたる投資戦略を展開しています。
同社のウェブサイトによれば、未上場企業投資においては、売上100億円規模への成長に向けたプロダクト・マーケット・フィット(PMF)や収益モデルが確立されたグロースステージの企業を主要ターゲットとし、一社あたり10~30億円程度の出資を実行。投資領域は、コンシューマー・インターネットを中心とするB2C領域と、ソフトウェア・サービス(ヘルステック、フィンテックを含む)を中心とするB2B領域を対象としています。また、アーリーステージの企業に対しても、大きなポテンシャルを見込める場合は出資額を抑えた形での投資も行っています。
特筆すべきは、香港の資産運用会社Pleiad Investment Advisorsと共同で設立したグロース投資ファンド「Pleiad-Minerva Japan Growth Opportunities L.P.」が2021年9月に192億円でファイナルクローズしている点です。これにより、プレIPO出資から上場後も継続保有するなど、成長企業のライフサイクルを横断した長期的な株式の継続保有を可能にしています。
同社のポートフォリオには、製造業DXのキャディ株式会社、美容医療SNS・予約サービスの株式会社Tribeau、エネルギー取引プラットフォームのenechain株式会社、物流・建設業界向けITソリューションのX Mile株式会社、建設DXの株式会社アンドパッド保育ICTのユニファ株式会社など、各業界をリードする先進的な企業が名を連ねています。
MGPは、単なる資金提供に留まらず、上場株・未上場株投資、投資銀行、事業会社での経験を有するハイブリッドチームが、資本政策・財務戦略アドバイザリー、IR戦略サポート、M&A・アライアンス組成支援、CFO業務支援、グローバルなマーケット・インサイト提供など、ポストIPOも見据えたハンズオンでのサポートを提供し、投資先企業との中長期的なパートナーシップを築いています。
市場環境と今後の展望
国内では、スタートアップ・エコシステムの成長とともにグロースキャピタル市場も拡大しており、テクノロジーを活用した新しいビジネスモデルが次々と生まれています。一方で、企業が成長ステージを駆け上がるためには、資金調達だけでなく、事業戦略、組織構築、ガバナンス強化など多岐にわたる専門的なサポートが不可欠です。
同社が安定的に利益を計上している背景には、このような市場環境の中で、厳選された有望な企業への投資と、その後のハンズオン支援による企業価値向上が着実に成果を上げていることがあると考えられます。
今後、同社がこれまでの実績と独自の投資戦略、そして強力な支援体制を活かし、どのような成長企業を発掘・育成し、日本の産業界に新たな活力を与えていくのか、その動向から目が離せません。
企業情報
企業名: ミネルバ・グロース・パートナーズ株式会社
所在地: 東京都港区赤坂一丁目14番5号(決算公告より)
代表者: 代表取締役 長澤啓(決算公告より)
事業内容: テクノロジー領域の成長企業への投資(グロースステージ中心、アーリーステージも対象)、MBO、PIPEs、カーブアウト投資、投資先へのハンズオン支援(資本政策、財務戦略、M&A支援、CFO業務支援など)
主な投資領域: B2C(コンシューマー・インターネット等)、B2B(ソフトウェア・サービス、ヘルステック、フィンテック等)
